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ietyan

頑張ります。

自分を内省し、物語にし、その物語に埋没させる力を持つ現役女子大学生木内さん

先日お話しした方の物語が非常に面白かった。何がそんなに面白かったのか、魅力的に感じたのか、忘れないうちに書き記しておく。

 

その子はどこでもいそうな普通の女子大生。名前は木内(きうち)さんとでもしておく。

 

端的に表現すると、

 

「自分を内省し、物語にし、その物語に埋没させる力」がすごいのである。こんな女性に出会ったことはなかった。

 

 

自分を内省し、物語にする力

 

木内さんの話しを完結にまとめると、こんな感じだ。

 

「人には隠と陽の世界があり、普段は陽の世界、つまり現実社会を生きている。しかし彼氏にも家族にも見せることができない、隠の世界を私たちは持っている。自分が認識していないだけで。

私はある男性とその隠の部分を共有することができ、浮気していた。しかし彼が彼女と写っている写真を偶然インスタで見つけてしまった。そこにいる彼は私が会うときの彼とは全く別の表情をしていた。辛い。」

 

木内さんは自分の恋愛をこの次元(隠とか陽)の抽象的な言葉で説明する。いったいどこの女子大生が自分の話を浮気話を、隠と陽の話にまで内省して昇華させるのか。

 

多分普通の女子大生が話すとこんな感じだろう。

 

「なかなか人に言えないことがあって、それにすごく共感してくれた人と、だめってわかっているんだけど浮気しててさ。みんな私のこと責めるわけ。でも誰でもそういう自分にしかわかっていない部分はあって、それを共有してくれる人を探してくれると思うの。しかも彼氏がそれを理解すべきだと信じているのに、理解してくれなかったら浮気することもあるじゃん?

で、その彼のインスタ見たら、彼女と一緒に写ってるの。ディズニーランドとか行っちゃってさ。その写真見るとなんだか辛くなってきてさ・・・」

 

木内さんの驚くべきことは、この隠と陽の話しで物語の始まりと終わりが一貫していることだ。

 

言い換えれば、物語を自ら作り出している。彼女の話を聞いているとその世界に巻き込まれる。他にも恋愛以外の「イベント」はあり、彼女に何らかの形で影響を与えているはずだ。

しかし彼女の物語は隠の世界で揺れ動く自分の気持ちである。

 

 

ただ愚痴を述べるだけでなく、話が深い。「浮気」という行為を正当化しようとしているだけのただの答弁かもしれない。

 

聞けば聞くほど深みが出るというか。旨味が出るというか。

 

では、この浮気の話、どういう未来が待っているのだろうか。

 

「彼とは今年に入って会わないことにした。彼は就職し、私もインターンを始め、だんだんと現実世界に戻りつつある。いつまでも隠の世界に入り浸っているわけにはいかなし、現実社会に適応していかないといけない。」

 

まるで2人の運命は「社会人=現実社会」がトリガーとなって引き離されている。実際話した時も、自分で「トリガー」という言葉を使って話していた・・・

 

 

 

自分を物語に埋没する力

 

「結婚するみたいな面白い結末になるのかなとも思った。」

 

とも彼女は言った。彼女の面白さは人生がいかに躍動的に面白いとかいう話ではなく、物語としてどういう結論であれば面白いのかという視点に立っている。

 

当事者としても面白さではなく、物語の中で自分の人生の意思決定をしているのではないか。

 

物語の中での木内さんと今それを話している木内さんは全くの別人かのようだ。その浮気相手といる時は、彼が今にも消えそうな存在であったと言った。

 

その彼と出会ったきっかけを聞いたときは鳥肌がたった。

 

「彼とは就活のインターンで出会った。そのインターンは山奥で肉体的に自分を極限状態に追い込むというものだった。自己紹介はなんにちかの合宿が終わった後にするなどとりあえず異様で神秘的なものだった。」

※補足しておくと、最近は無人島インターンなど一風変わったインターンがある。

 

彼との出会いはそもそも隠の部分での出会いだったとの言うのだ。こと隠の世界に関しては彼との出会いから別れまで全てこの話で筋が通る。

もはやそういう一筋のストーリーに対して自分の五感を研ぎ澄まして生きている。

 

そのストーリーのために生きているのではないかと疑った。

 

なので話を聞いていて、木内さんがどうしたかったとか、こうすべきだったみたいな話をするわけではない。彼が悪いとか悪口をいうわけでもない。

 

普通の女性なら、少なからずそういう表現をするだろう。

 

木内さんは、その時の情景を淡々と語る。

 

木内さんの幼少期までは今回深く聞くことができなかったが、隠と陽の話で説明がつくようになる気がする。

 

ここまで自分の感情や当時の情景を深く落とし込めるものかと深く感心した。そこまで深く考えながら、全体の物語としての構成も一貫性がある。それは時頭の良さがそうさせるのだろう。

 

何よりその話をしている木内さんが、自分と物語にいる自分を切り離して話していた。まるでこんな人がいるんですよと言わんばかりの話し方だった。

 

その話をする木内さんそのものもそうだし、物語の中の木内さんも魅力を感じざるにはえられなかった。

 

それは自分がそこまで内省をしない人間であると同時に、木内さんと時間を過ごせば、何か違った情景が見えるのではと思ったからでもある。こんなに五感を稼働させて生きることができるんだと。

 

何かを聞くたびになんらしかの言葉が返ってくるのは、ただのひねくれ者、言葉をごちゃごちゃしているだけとも受け取れる(そう受け取るその人自身がひねくれている可能性はある)が、それでも彼女が語る言葉には力強さがあった。力強く生きていくのだろうと勝手に思った。

  

 

 

と長々と書いてみたが、

 

 

 

 

 

まるで隠の世界に入り込んだ楽しいひと時の会話であった。