日本人向けに中国のスタートアップを伝えるブログ・メディアを作ろうと思ったので、まずは市場を分析してみた。
まず初めに。僕は中国のスタートアップ業界、Webサービス、アプリ、IT業界をメインに報道するブログ・メディアを作ろうとしています。
それにあたり市場を分析したので、共有します。興味ある方はご連絡ください。一緒に作りましょう!(以下のPVはSimilarWebを参考にしています。)
1、中国テック、スタートアップ系の記事はどれくらいあるか
まずは、日本国内で著名なスタートアップの記事を報道しているメディア(以下に挙げる14媒体)をFeedlyでチェックします。日本語で発信されている中国スタートアップの報道の数を調べてみました。(定期的に報道している媒体を探したかったので連載は含んでいません。)
・THE BRIDGE
・TechCrunch
・大江戸
・Bizna Lab ブログ
・Techable
・はてなブックマーク - タグ - VC
・はてなブックマーク - タグ - スタートアップ
・Venture Now
・100SHIKI
・TechWave
・TheStartUP
・ギズ・モード
・CNET JAPAN
2014年12/17から12/22までを集計した結果、中国企業について記述は7記事でした。そして掲載記事媒体はすべてTHE BRIDGEでした。他のメディアでは製品発表の時の報道はあったりもしますが、業界の動きやWebサービスなどは報道していません。
※キュレーション経済メディアであるNewsPicksは財新という中国メディアと提携し、有料で中国の報道をピックしています。さらに以下のような連載も始め、今最も中国スタートアップに力を入れて報道しているメディアと言えます。ただ無料で見られるものは連載だけですので、ここでは分析の対象とはしません。NewsPicks中国の編集部体制についてはこちらの記事をご参考ください。
「進撃的中国IT」を連載するNewsPicks中国編集部のメンバーは? | ちゃいカフェ~中国のいいねを編集するWebマガジン~
NewsPicksプロフィール 〜 打倒アリババ、WeChatの全方位ビジネス
ということで、THE BRIDGEの中国報道について精査していきます。
2、THE BRIDGEの中で中国の位置づけ
・まずは中国関連の記事がどれだけあるか、さらにどんな内容の記事なのかを調べ、その翻訳元まで調べます。
全体:11/21~12/22で約280件の記事(1日9記事の計算)
中国関連:11/21~12/22で32件の記事(1日1記事で、月曜日に3~4本まとめて更新し、他の曜日に3本ほど更新。)
記事元:Technode 4本、TechInAsia 22本、e27 1本、池田将 2本、IshikawaMayu 1本
→TechNodeとTechInAsiaの翻訳記事がメインなのが一目瞭然です。しかもそのほとんどが、BAT(Baidu、Alibaba、Tencent)の話題に集中しているのも特徴です。まとめや解説記事はあまり多くなく、資金調達などの簡単な報道が多いです。
TechNodeとTechInAsiaについて簡単に紹介しておきます。
・TechNode
TechNode - News & Insights on Chinese Startups and Tech Market
TechNodeは、中国とアジアのスタートアップ起業家、投資家、業界動向を伝えるグループ・ブログです。ソーシャル・メディア、モバイル、Eコマース、位置情報サービス、拡張現実などにフォーカスしています。8/12~12/22までで39記事が翻訳。1か月に10記事のペース。月間15万PV。
・TechInAsia
Tech in Asia - Asia Tech News for the World
Tech in Asiaは、アジアに焦点を当てたテックやスタートアップのニュースを提供するため、2009年7月に設立されました。アジアのインターネット・コミュニティの発展に貢献したいと考えています。読者は、主に起業家、マーケッター、企業の重役、学生など。8/21~12/22までで100記事が翻訳。1か月に25記事のペース。月間140万PV。
次はTHE BRIDGEの企業データから中国企業の位置づけを見てみます。
・THE BRIDGE DATE
スコアリング機能とは、twitter、Facebook、Google+、はてぶ、ポケットのバズ数の総合点のことを指すようだ。
THE BRIDGEのような「メディアの民主化」の逝く末 | The Startup
DATE(2014年12月22日時点)
全体:1500スコア以上の企業500社
タグに「China」:1500スコア以上の企業12社
→資金調達の額を考えると、極端に中国企業が少ないというのが正直な感想です。
3、THE BRIDGEの翻訳体制は?
日本人が中国のスタートアップの情報に興味を示さないのは理解できます。必要とする人がそこまでいないのが現状であると思います。ただ気になるのは、TechInAsiaにはもっと面白い記事があるにも関わらずそれをTHE BRIDGEが翻訳していないということです。
12/22、23:48時点での人気記事TOP20から中国系のものを抜粋しました。
China’s 13 most valuable startups in 2014 (INFOGRAPHIC)
The tao of Lei Jun, founder of Xiaomi
10 charts that compare China and India's smartphone owners
9 of 2014’s best indie PC games from Asia
36 startups in Asia that caught our eye (21 December 2014)
これらはTHE BRIDGEでは翻訳されていませんでした。Conyacというソーシャル翻訳を使っているため、文字数で記事あたりの予算が決まるはずです。ですので全体のバランスを取りながら翻訳をしているのではないかと。
翻訳ブログメディアの作り方と可能性 - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)
の中で翻訳ブログメディアのポイントとして「単発ではなく毎日出せる情報量を確保するフローを持つ」と言っているので、内容はそこまで濃くないが毎日出すフローとしての情報と、文字数の多いまとめや解説記事をバランスに配慮し翻訳しているのだと思います。
4、なぜ中国通の方は既存のメディアに寄稿しているだけなのか?
結論として、圧倒的な競合はいないと言えます。ではなぜ、中国ITに詳しい方は自分でメディアを立ち上げないのか?既存の媒体に寄稿しているだけなのか?その理由はたったの1つです。
Webでのマネタイズが難しすぎる
メディアの収入の基本は広告ですが、THE BRIDGEですら、PVを捨てるのがポイントと言っています。
翻訳ブログメディアの作り方と可能性 - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)
ましてや中国に特化したら広告収入では成り立たないのが想像できます。となるとそれ以外で考えられるマネタイズを考えてみると、
5年後、メディアは稼げるか―Monetize or Die ?
- 作者: 佐々木紀彦
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2013/07/22
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (1件) を見る
で書かれているのは「広告、有料課金、イベント、ゲーム、物販、データ販売、教育、マーケティング支援」。
イベントで収益を図るところは多いですが、国境を超えるので難易度はさらに上がります。やはりマネタイズの方法が見えないことが、今の現状であると思います。
5、まとめ
市場を分析し、中国の価値あるスタートアップの情報が埋もれていることは分かりました。たとえば日本ではグノシーというキュレーション・アプリがありますが、中国では同じコンセプトのサービスがグノシーより5か月も前にローンチしています。
Gunosyは中国企業(今日头条)より後発。Gunosyは2013年01月リリース、中国企業(今日头条)は2012年8月リリース。CtoC(CopytoChina)ではなくてCtoCtoJ(CopytoChinatoJapan)かもしれない。
— 家田昇悟 (@IedaShogo) 2014, 12月 19
こういったことを調べていくうちに、「日本と中国のスタートアップをつなげたい」と思うようになりました。おそらく中国から見たら日本はそう魅力的ではないかも知れません。しかし日本から見れば、中国の市場は大変魅力的であり(投資家・起業家目線)、また違ったビジネスモデルはいろいろ参考になります(起業家目線)。
広告(広告自体に価値を持たせるという議論は置いておき)だけでは確実に潰れるので、どういった位置づけてメディアを作るのか、そしてマネタイズをどこでするのかを次で考えてみようと思います。