BtoC向けの中国専門のメディアを作りたかったんだけど、とりあえず諦めることにした。
表題の通り、そういったメディアを作りたかったんですね。
きっかけ
中国との出会いは、2012年9月に学部のプロジェクトで上海に留学したことがきっかけです。なぜそのような学部に入ったかというと、ちょうど受験の時に、「中国のGDPは日本を抜く」という報道が盛んにされたときであり、また「留学できるの楽しそう」といったまあ適当な感じでした。
留学の年は、日中国交正常化40周年でありながら、日中関係が戦後最悪と言われたときで、僕が留学した9/18も上海領事館前ではデモが行われていました。しかし実際に見に行ってみると、大したことない。日本の報道で見るものとはまったく違うものでした。
日本に帰ると、「嫌韓」「反中」がブームとなっていてい、大好きな本屋さんでそういった本を見るたびに嫌な気持になりました。
一方で、国際交流基金や日中交流団体に関わる中で、無条件な「日中友好」にも違和感を感じてました。自分は現代中国を中心に勉強しているのですが、中国の歴史、戦前から戦後の東アジアの関係を考えたときに、そんな単純な「友好」で今の問題が解決できるとは思わなかったからです。もちろん個人間の交流活動は必要ですが、国家同士が「友好」であることには非常に疑問でした。
日中交流活動を行い、これからもそういった方面に携わっていく学生が、国際政治や外交に疎いのではないかなと思っています。中国の国内の問題(三農問題、不動産バブル、内陸開発、チベット等)を理解している人、理解しようとしている人も大変少ないと思います。日中交流と言っても、話すだけで終わっている気がして、その先にあるはずの国の理解が進んでいない気がします。逆にそういった理解をするメディアが無い気もします。
もちろん個人で問題意識を持った学生などは、図書館に行き関心のある分野を調べたりすると思いますが、200ページ以上もある「本」では正直荷が重いと思います。かといって「ネット」で検索しても「良い」情報はありません。著名な中国研究者の名前を検索すると「○○ 売国奴」と自動表示される悲しい状況です。
もう少し気軽に、ネットで良質な中国の情報を発信するメディアを作りたいと思うようになりました。
ネットメディアいけてる
また海外で生活するようになって、ネットで情報を取得することが中心になりました。その中で、「ブロゴス」や「ハフィントポスト」といったネット発のメディアでも有益な情報はあること、マネタイズも可能である?と思いました。
あとは単純に、そういった人たちに憧れ、自分も何かやってみたいと思うようになりました。新しいことに挑戦している人がかっこいいなというただそれだけですね。
調査~ネットメディア~
まず参考にしたのが、こちらです。
MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体 宣伝会議
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専門誌があるということは、業界があるということ。業界があるということはそれで食っている人がいるということが書いてありました。中国で食ってる人ってどんな人なんだろうなと。
中国の雑誌を作りたいので、そういった業界を考えてみると、中国研究者、中国ジャーナリストなどは確かにいますが、あくまで中国経済研究者、中国政治学者といったように、1つの分野の中の中国なんですね。現代ビジネスの1つのコンテンツとして中国があったり、という感じです。政治も経済も中国単体で動くものではないので中国だけではコンテンツを作りにくいんですよね。
次は、ネットメディアの収益について。
川 現在のサイトのPV規模を教えてください。
大 PCがおよそ2,000万PV、スマートフォンがおよそ500万PVで、合わせて月間2,500万PV程度ですね。
川 今は何名ほどのスタッフで運営されているんですか?
大 10名で運用しています。
川 先ほどPVの話がありましたが、正直このPV規模で10人スタッフをつけてしまうと、なかなか収益化が厳しいかなと思うのですが。
大 たしかに、すごく儲かる数字ではないですよね(笑)。ただこの分野の専門サイトだと、これくらいのPV規模がひとつの壁なのかもしれません。PV数はエンタメ系のサイトには敵わないですから。これからの方向性としては、社会的な信頼を得ることで広告単価を上げていきたいと思っています。
川 現在の主な収益源は何ですか?
大 バナー・Adsenseの広告と、メルマガが収益の柱ですね。ビジネス系のセミナー商材とか、相性いいですよ。
川 もっと露骨にバナーを貼ったりはしないんですか? 記事タイトル下に大きくAdsenseを入れたりとかは、わりとどこもやっている手法ですが。
大 そこは一応デザイン性を重視していますね。現状でも、Adsenseをメインに純広告が上手く入れば、きちんと黒字にできる状況なので、バランスを見つつ試行錯誤している感じです。
課題は収益化? BLOGOSが語る政治とネット、オピニオンメディアの未来:サイラボ|cylab
あ~大変だなと思ったのが率直な感想です。BLOGOSの中にも中国というコンテンツはもちろんありますが、数ある中コンテンツの中のたった1つです。PVで規模が出ず、スタッフを1人も雇えない気がします。良い読者をつけていい広告を出してもらう手もありますが、中国というターゲットがぼやけすぎていて、広告を出してもらうのも難しそうなだなと。
中国というコンテンツでネットメディアで収益を出すのはほぼ無理だなというのが結論です。
調査~実際に中国をネタに発信しているメディア~
ネットメディアがダメなら紙はどうだろう。
結論から言うと、けっこうありました。
学生と社会人の提携・協力による草の根外交を目指します - 雑誌「和華」 ページ!
こちらは日中の文化を専門に扱った雑誌です。中国人留学生が自ら作っています。 スタッフもボランティアベースでやっているみたいで収益は出ていないが気がします。
日本唯一の中国経済専門紙として、創刊以来、日本社会及び日本企業に関する中国経済状況について情報発信しています。月1で、4万部発行しているみたいです。
中国の娯楽・文化に焦点を絞った雑誌です。中国の娯楽を扱っているメディアはここが国内では唯一ではないかと思います。
調査の感想
数は少ないですが、中国をコンテンツにしたメディアはあります。ネットでの成立しているものはありませんが、紙媒体だと現時点では中国を伝えられているのだと思います。
ただ僕が伝えたいのは、もう少し政治・経済の理論に焦点を当てた「中国」です。日中関係をただの速報のニュースではなく、「国際政治」から解説したり、中国人の行動原理を「哲学」や「行動経済学」の知見から考えるメディアがあってもいいのではないかと思います。そしてやはり手軽にみられるネットでやりたいと思います。でもそこまでして理解したい人はどれほどいるのか言われれば、とても少ない人ですよね。
研究会の月報などがそれにあたるかと思いますが、やはり敷居が高いです。もう少し敷居を下げて中国に関わりのある人に読んでほしいと思います。特に比較的時間のある学生に伝えたいですね。
ありうる今後の方向性
1)日中交流団体のオウンドメディアとして、研究者にもっとも立場が近い学生がメディアを非営利で運営する。
現在は無いので、ゼロから作らなければいけません。日中交流に携わる人のすべての課題が中国に関わりのない人をいかに、中国人と接し、相互理解を深めるかだと
思います。(中国研究者然り)ですので、親和性は高いのかと思います。
2)社会に対するアプローチを諦めて、自分の趣味として個人でブログで発信し、たまにイベントをやったりして、活動を続ける。
個人のライフワークとしての選択もありかと思います。
お前はどうするの?
今後の方向性を考えると、今は学生なので、とりあえず金を稼ぐためにどうしようかという感じです。こだわって自分で中国に特化したメディアを作る?
中国と出会ってから、あたかも自分は中国と生きていかなければいけないと勝手に思っていましたが、別にそんなことないですよね。
昔から情報をまとめたりして人に伝えるのは好きです、
その対象が大学に入ってたまたま中国であっただけで、中国に固執する理由はないかと思います。ただこれから激変していく中国、歴史ある中国の文化や歴史を学ぶことは楽しいのでライフワークとして続けていきたいと思います。
それはこういった本を読んで思うようになりました。
「目的のための手段は諦めていい」と書いてありました。
自分の目的は、埋もれた価値を伝えることなので、中国という軸はあくまで1つの手段にすぎないと思いました。 そう思うとかなりすっきりしました。
また上海でビジネス誌の編集長を務めている方からも「中国というのは1つの視点。他の視点があって初めて生きるもの。中国に特化したメディアを作りたいのは分かるが、広告のために頭を下げるだけでは終わらないか?」と言ってもらいました。
そんな感じで、稼ぐことを考えた場合「中国」はいったん諦めました。フリーでもサラリーマンでもいいですが、とりあえずなんでも情報発信していこうと。
学生の間にやりたいこと
・中国一周
中国の魅力を伝えるをテーマに旅しようかなと思っています。あえて中国の良いところだけを伝えるのも良いかなと。
・日中交流団体でメディアを作る
さきほどの言ったように、オウンドメディア作りに挑戦したいと思います。
・ゲリラ的な交流会、勉強会の開催
中華料理であったり色々な中国をテーマにして人とのつながりを増やしていきたいと思います。
・チャイナウォッチャーを巡る旅
ビジネスパーソン向けの本を作りたいです。書籍などに頼らず中国を定点観測するためには、どのような視点を持てばいいかを経済学、政治学、憲法学、など様々な視点から解説するものです。
まとめ
中国を軸に稼ぐのは諦めます。あくまで1つの視点としてあれば良いなと。学生の間は中国と全力でかかわっていきたい!
ざいじえん!